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★★最近読んだ本の感想★★

1 :1:03/09/01 14:59

長文でも一言でも結構。読後のメモ帳がわりにいかがでしょうか?
もちろん随分前に読んだ本の感想も可。
まだ読んでない人、これから本を買おうと思っている人の参考になる書き込み大歓迎!
でも【ネタばらしは厳禁】ということで。

また、くれぐれも感想は人それぞれということをお忘れなく。



2 :吾輩は名無しである:03/09/01 15:00
春樹カフカ

つまんなかった。

3 :1:03/09/01 15:13
『ハリガネムシ』

芥川賞受賞作ということで読んでみたけど、いまいちでした。
宮本輝の評―「人間の内部にハリガネムシのように寄生する暴力性や肉欲や
獣性などが、笑いや滑稽さや、スラプスティックな構成の中で巧みに描かれ
ているとして、私にはそのようなものに何も目新しさを感じなかった。
それどころか、また古臭いものをひきずり出してきたなという印象でしかなく、
読んでいて汚らしくて、不快感に包まれた。」が全くピッタリとあてはまると
思います。
読後感は最悪なので(希望・再生といったものが見当たらない)、
あまり人には薦められない作品です。

4 :吾輩は名無しである:03/09/01 18:18
わたしも文藝春秋の読もうと思いましたが、なんか2,3行で読む気うせちゃいました、、

5 :1:03/09/02 13:23
>>2
『海辺のカフカ』は確かにつまんないかも。『世界の終わりと〜』の続編だと期待して
読むとがっかりするね。
『世界の終わりと〜』は傑作だと思うけど、やっぱり『カフカ』は失敗作かな?
好みの問題もあるけど、私の場合、ナカタ・ホシノのストーリーラインがどうしても好きには
なれませんでした。
それと、四国が舞台というのもちょっと・・・。
ただ、所々春樹らしい読ませどころ(先生の手紙等)はあって、それだけでも読んでみる
価値はあるのではないでしょうか。



6 :1:03/09/02 13:57
>>4
読まないほうが正解かもしれません。特に女性の場合は。
この小説にはいくつか暴力シーン・セックスシーンが描かれているのですが、
最後の雨の中でのリンチシーンは本当に吐き気を覚えることうけあいです!
もちろん見方を変えればそれだけ筆力があるとも言えますが・・・
でも、女性器の中に小石を詰め込むという描写があの作品にとって不可欠なことなのでしょうか?

小説において暴力を描くことは必要なことだとは思いますが、不必要に過剰な暴力を描くことは
有害だと私は思います。作者の良識の問題でもあるのでしょうけれども。


7 :1:03/09/03 13:00
青山光二『吾妹子哀し』

川端康成賞受賞作ということで読んでみました。
80歳を過ぎた老夫婦の話で、妻がアルツハイマーにかかってしまった夫の視点で描かれた作品なんですが、
最近『アイリス』というこれとほとんど同じ内容の映画をみたばかりだったのであまり新鮮さ・真新しさは感じませんでした。
現在と過去(妻と出会った頃)を交錯させて描くという手法も全く同じで、パクリ?と思ってしまいましたw
ただ、映画もそうだったのですが、自分の愛する人(家族・恋人)が突然別人のようになてしまった場合に、
果たして今まで通りその人のことを愛し続けることができるのか?等、何か読み終わった後に色々と考えさせられました。
確か村上龍が何かの作品で、死よりも怖いのは自分の知っている人間が全く別人になってしまうこと=発狂だと書いていた
記憶がありますが、としたらアルツハイマーも同じなんですかね。
じんわりと心に染み入っていく読後感を味わえると思います。



8 :1:03/09/05 11:36
東野圭吾『殺人の門』

池袋のジュンク堂に行ったらサイン本が置いてあったのでつい買ってしまい読みました。
彼の作品では『白夜行』が最高傑作だと思っているのですが、本作もこれに匹敵する出来の
作品だと思います。冒頭から最後まで一気に読まされてしまいました。

主人公の私(田島和幸)が、小学生時代からの友人?(倉持修)との20年にも渡る確執を
“人はいかにして殺意を抱き、実際に殺人を実行に移すことができるのか”というテーマを
根底に据え描いたもので、モーツァルトとサリエリの確執を描いた『アマデウス』という映画を
想起しました。学校・職場でのいじめや、マルチ商法(豊田商事事件)等の社会問題を通して描かれていて
いろいろと考えさせられました。

他方、どうしてもわからなかった“これほどまでの倉持の田島への執着・憎しみはどこからきているのか?”
という根本的疑問に対する解答は作品の最後になって解明され
(ここでは黒澤明の『天国と地獄』という作品を想起させられました)、正直驚きました。

『白夜行』が好きな人にはこの作品も是非読んでほしいと思います。





9 :1:03/09/09 15:50
水村美苗『本格小説』

物語=ストーリーテリングの力を久しぶりに感じさせる作品だと思います。
それがまた“本格小説”なんだと思いますが。
この作品は恋愛小説としてブロンテの『嵐が丘』とよく比較されているようですが、
私はむしろディッケンズの『二都物語』やアービングの『ガープの世界』
『ホテル・ニューハンプシャー』をまっさきに思い浮かべました。

この作品は読者(性別・年齢の違い)によって色々な読み方・感じ方があるとは思いますが、
私はそれほど感動はしませんでした。
というのも、ゆう子・太郎・雅之の三角関係がどこか昼メロのような安っぽい、陳腐な恋愛関係
にしか思えなかったからです。さらに最後に冬絵から聞かされた太郎と冨美子の関係も
それに追い撃ちをかけました。すごく下世話な感じがして。

唯一心を動かされた箇所は、よう子の死に際に彼女に向かって太郎が、
初めてあった頃からずっと殺したかったと告白する場面です。
太郎のよう子に対する強烈な愛は、もともとは不幸人・貧乏人の幸福人・金持ちに対する
強烈な憎しみから派生したのでは、と思い当たったからです。

東野圭吾の『殺人の門』を読んだばかりというのもありますが、結局、幼い頃・子供の頃に
形成された感情・記憶といったものは、その人間のその後の人生全体・一生に渡って
影響を及ぼし支配し続けるものなんだろうなぁ、と自分と照らし合わせて考えさせられました。






10 :1:03/09/09 16:08

この作品は読売文学賞受賞作ということですが、私は同じく読売文学賞受賞作である
村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』のほうが数段、小説構造といい作品の深みといい
優れているのでは、と思います。

というのも、“小説のような話”が始まるまでの導入部が長いという意見もありますが、
私はむしろ土屋冨美子の話が長過ぎる感じがしました。
あくまでも小説内小説であるはずの物語が、作品全体を凌駕してしまったような気がします。
それはそれでいいのかもしれませんが。。。



11 :吾輩は名無しである:03/09/14 08:22
1さん、がんばって

12 :1:03/09/14 23:36
>>11
温かいお言葉、ありがとうございます。

もともとは他人本位に沢山の人に最近読んだ本の感想をレスしてもらい、
これから自分が本を買って読むための参考になればと思って
スレを立ててみたのですが、どうも私だけのオナニースレになってしまいましたw

ただ、当初の思惑とは裏腹にこうして自分で読んだ本の感想をレスしてみると、
今までは本を読みっぱなしだったのが、良い備忘録になってとても重宝しています。
なので、今後もマイペースでがんがっていきたいと思います!

できれば色々な人に読んだ本の感想をレスしてもらえると嬉しいのですが。。。


13 :1:03/09/14 23:50
宮本輝『錦繍』

『本格小説』を読み、同じく男女関係のあやが複雑に絡み合った作品を
読みたくなり読んでみました。再読なのですが、随分昔に読んだきりだったので、
初めて読んだように感動してしまいました。
『本格小説』と同じく恋愛小説・ストーリーテリングの力を
この作品も強烈に感じさせてくれると思います。

 ある“事件”をきっかけに離婚後、十数年振りに偶然再会した
勝沼亜紀と有馬靖明との長い手紙のやりとりを通して(この作品構造は、
ドストエフスキーの処女作『貧しき人々』を彷彿とさせます)、
離婚後再会するまでお互いが歩んだ人生、 “モーツァルト”に纏わる話、
あの“事件”の真相等が描かれることで、“私たちの無限の宇宙・生命とは、
何と不思議な法則とからくりを秘めていることか”という感動を与えてくれます。

 ただ、私はモーツァルトも好きなので、この作品を理解するのに苦労はしませんでしたが、
モーツァルトに関する知識が乏しい人にはちょっと理解するのが難しいかなぁという気もします。
もちろんモーツァルトに関する知識が全くなくても十分感動できるとは思いますが。

「−生きていることと、死んでいることとは、もしかしたら同じことかもしれない」
という亜紀の言葉がとても強く印象に残りました。



14 :1:03/09/14 23:57

この作品でも、少年である靖明の中学時代における瀬尾由加子という少女に対する初恋が、
その後の彼の人生、更には亜紀の人生をも狂わせることに繋がっていて、
何とも複雑なやり切れない気持ちになりました。
やっぱり私たち人間の心・精神は体と同様に年齢を重ねるごとに成長しているようでいて、
実際は少年少女時代に既に完成されてしまいその後は少しも変わらないのではないのか、
と思ったりしています。その顕著な例がトラウマでしょうけども。

“私たちの生命とは何と不思議な法則とからくりを秘めていることか”



15 :1:03/09/21 18:13
 保坂和志『カンバセイション・ピース』

 著者最高傑作との帯書につられ、かなり期待して読んだのですが・・・、
これ程退屈でつまらない小説とは思いませんでした。
というか、とても小説とは言えない代物−著者の随想もどき−でした。
 日常生活の些細な出来事(同居する人間との会話・猫・野球の観戦の描写等)
を通して、作家である主人公が感じ、思ったことを淡々と記述していくのですが、
小説としての面白みが全く欠落しているものと感じました。
 
 ほのぼのとした読後感が味わえる(それがこの作品の主眼)
といえば否定はしませんが、それだけのためにこれだけの長編を必要とするのかは
やはり疑問が残ります。
 私が最近読んだ作品に、舞城王太郎の『我が家のトトロ』という短編がありますが、
こちらのほうが余程ほのぼのとした読後感を味わうことができました。
 
 ただ、猫好きな人(あるいは横浜ベイスターズファン)には歓迎される気がしますw



16 :吾輩は名無しである:03/09/27 09:08


17 :吾輩は名無しである:03/09/27 11:48
手塚治虫にはまってはまって・・読めば読むほど、凄い

18 :吾輩は名無しである:03/09/27 15:14
半村良『八十八夜物語』

OLとして一年働いていた妙子が思いっきり花を咲かせたいとのこで、
銀座のホステスになります。そこで自分の店を持つまでのスートリーが
とてもおもしろかったのですが、特に感動したのは
なぜ、多くのファンが妙子にはできるのかということで、
たいてのホステスは生活のため等、大きなビジョンを持ってはいないもんなんですけど、
妙子は違い、銀座の頂点を目指すという大志があったため、多くの人が妙子の味方に
成ったのだと思う。
やはり、理想は大きく持たなければならないと思いました。


19 :吾輩は名無しである:03/09/27 18:45
ごんぎつね・・・シクシク

こころ・・・よい

風の歌を聴け、1973年のピンボール、国境の南太陽の東・・・いまいち。
ノルウェイの森が好きだから読んでみたが、だめだ。

今度はスプートニクの恋人(春樹買いだめの最後)と 聖なる予言
をよみまつ。また来る。



20 :1:03/09/27 20:52
>>19

私も村上春樹は『ノルウェイの森』から入ってそのままはまり、
それ以来リアルで読んでいます。
でも『ノルウェイの森』が好きなら『国境の南・太陽の西』も気に入るような
気もしますが。。。確かに一般的な評価は良くないみたいです。
島本さんって一体なんだったんでしょうね?
私的には『スプートニクの恋人』『海辺のカフカ』がいまいちです。
『ねじまき鳥クロニクル』で精魂使い果たしちゃったのかなぁ〜。
『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』を読まれたのなら、そのまま
『羊をめぐる冒険』『ダンス・ダンス・ダンス』にすすまれたらいかがでしょうか?
めちゃめちゃ面白いですよ!






21 :1:03/09/27 21:01
 花村萬月『王国記』

 『王国記』(仮名?)はまだ未完ですが、「文学界」10月号に掲載された
王国記J〜《青い翅の夜》を読む際に、今まで発表されたものを通して読んだので
感想を書きます。

『王国記』は日本文学では珍しく、人間と神・宗教(キリスト教)との相克を描く
一大長編で、まだ序章?が終わった段階ですが、今後の展開がすごく期待されます。
最初の作品である王国記@〜《ゲルマニウムの夜》は芥川賞を受賞しているので
読まれた方は多いと思いますが、それ以降は一般にあまり読まれていないようなのが
とても残念です。というのも、それ以降どんどん加速的に作品は面白くなっていくからです。
現段階では、この作品の主要な登場人物−朧・教子・赤羽・ジャン・百合花−
それぞれの視点から物語は進行し、今後は主人公である太郎(朧とシスター・テレジアの子)が
新興宗教=“王国”を築きあげていく過程が描かれていくものと推測されます。

 この作品の主な舞台は修道院で、リチャード=ギア、エドワード=ノートン主演の
『真実の行方』でも描かれていますが、神父による性的虐待というのは珍しくないのですかねー。
朧と教子、教子とジャン、朧とジャン、赤羽と百合花等の性描写もかなり過激ではありますが
決して卑猥さを感じさせず、むしろセックスはこの作品の主題=人間存在のあり方と
極めて密接に関連し不可欠なものであり、決して不潔で禁忌すべき行為ではないのでは?
と私には感じられました。
 神とは何か?宗教とは?人間存在とは?といった深淵なテーマに果敢に取り組んでいる
作品であり、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』や埴谷雄高の『死霊』のように
未完に終わらないことを願っています。



22 :1:03/09/27 21:10

 参考までに今まで発表された作品を順に並べると−

 ・王国記@〜《ゲルマニウムの夜》
 ・王国記A〜《王国の犬》
 ・王国記B〜《舞踏会の夜》
 ・王国記C〜《ブエナ・ビスタ》
 ・王国記D〜《刈生の春》
 ・王国記E〜《汀にて》
 ・王国記F〜《月の光》
 ・王国記G〜《雲の影》
 ・王国記H〜《PANG PANG》
 ・王国記I〜《むしろ揺り籠の幼児を》
 ・王国記J〜《青い翅の夜》

となり、「文学界」に年2回のペースで掲載されています。




23 :吾輩は名無しである:03/09/28 09:32
>>1
なんだか、鼠(なんか名前がやだ)やら、直子が出てきたりしてヤナ気分になったのよ。
ピンボールで。
まあノルウェイの森よりピンボールの方が先だった気がするけど。
カフカはいまいちなのか。文庫で出たら買おうと思ったんだけどな。
「国境〜」はかなり自分と歳がちがう人物の話だからあんますきになれなかったのよ。
ノルウェイは20ぐらいだからなあ。若い登場人物の話がいいな。

24 :吾輩は名無しである:03/09/28 09:33
>>1
あ、あとオススメありがとう。スプートニクが
中々だったら春樹フッカツでよんでみまつ。

25 :吾輩は名無しである:03/09/28 09:36
つーか>>19で俺「太陽の東」とか書いてるし・・・・・はずかしい

で何回も悪いんだけど、夏目漱石の「三四郎」っておもろい?
こころはかなりおもしろかったんだけど、漱石のは他のも
読みやすいのかな?

26 :吾輩は名無しである:03/10/02 16:17
あれ、誰もいナイ・・・・

サミシイ

27 :吾輩は名無しである:03/10/02 16:37
>>25
漱石はだいたい、読みやすい。文庫などほとんどが現代語表記だし。
誰でも読みやすく入りやすいから国民的作家なんだろうな。
中には、本人の神経発作の名残りを強く反映したものもあるが、
ごく少数。ほとんどの作品はとっつきやすいし、
読み始めたら面白く読み通せるよね。

28 :吾輩は名無しである:03/10/03 09:38
>>27
そうかあ。ありがたう。三四郎、坊ちゃんいってみまつ

29 :吾輩は名無しである:03/10/04 04:59
1さあああああああああああああああああああん

30 :吾輩は名無しである:03/10/04 06:06
>>25
「三四郎」面白いよ。続けて「それから」も読むのをお薦めする。
俺は「それから」の方が好き。
「門」は・・・読んでも読まなくても、どっちでもいいかなw

31 :吾輩は名無しである:03/10/04 11:51
>>30
じゃあ、それから も買うリストに追加始末。
ありがとう

32 :1:03/10/04 12:06
>>29

なにか?


33 :1:03/10/04 12:12
>>25,>>31

『三四郎』→『それから』→『門』の順に読むことをおすすめします。
これらは青春三部作で、村上春樹の作品に通じるところがあるような気がします。




34 :1:03/10/04 12:20
 ドストエフスキー『未成年』

 この作品は5大長編(『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』)
の中ではあまり人気がなく(確かに一般受けしない作品と思います)、
文庫は絶版状態になってしまっているようなので、
新潮社の世界文学全集(工藤精一郎訳)で読みました。

 『未成年』は『悪霊』の次、『カラマーゾフの兄弟』の前に書かれた作品で、
全編アルカージイという二十歳の青年の手記という形式をとっています
(もっとも唯一最後の部分だけ、ある人物からこの青年に宛てられた手紙が引用され
幕を閉じますが)。
 私生児である青年アルカージイの実父ヴェルシーロフ、及び年上の女性
カテリーナに対する愛がこの手記=作品全体の基調になっていて、
アルカージイが着ている服の中に縫いつけて隠し持っている
カテリーナに破滅をもたらす内容の手紙を巡って物語は終局へと進行していきます。
 冒頭から作品の至る所で、青年が何故これ程の長大な手記・告白を
書かなければならなくなったのか、その謎かけが繰り返し繰り返し行われ、
どんどん作品に引き込まれて行きますが、その答えは最後の“エピローグ”の部分
−ある人物からアルカージイに送られた手紙−を読むことで明らかとなります。
この手紙はまさにドストエフスキー自身の肉声だと思います。

 あくまで私見ですが、この作品は、『悪霊』から『カラマーゾフの兄弟』への橋渡し・飛躍
をするためにドストエフスキーにとって是非とも書かなければならなかった作品、
あるいは『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』を執筆・構想中に必然的に
これらの作品から派生的に分裂して生まれたような気がしました。




35 :吾輩は名無しである:03/10/05 09:11
なんか>>1のハリガネムシの感想を読んだら怖いもの見たさで
見たくなってきたなあ。
でも文庫じゃないんだよね・・・・・
文庫しか買わんからなあ

36 :吾輩は名無しである:03/10/09 12:42
坊ちゃんを先に買ってきてしまった。ま、いっか。

あと 聖なる予言、読み終わり。なんだスーパー人間て?
なめてんのか?一生よまない。2点(10点満点中)

老人と海 うん面白い。なんか爺さんに親しみが持てる。棍棒振り回して
鮫叩きまくって、このじじい中々やるな、と思った。少年もいい奴だ。
また今度読もう。7点か8点

ねじまき鳥クロニクル売ってるのみたけど文庫でも全3巻か・・・長いな
いつか読もう

ごんぎつね10点 こころ8点 ノルウェイの森9点

37 :吾輩は名無しである:03/10/17 08:52
1さああああああああああああああああん

38 :吾輩は名無しである:03/10/17 18:50
2001年宇宙の旅・・7点
映画は別に嫌いではないけど小説いいね。また読みたい。

って板違い?

39 :吾輩は名無しである:03/10/19 06:52
ハツカネズミと人間・・・7点  グリーンマイルの元ネタと聞いたけど
本当だろうか。犬を撃つところが大事な場面だったとは。

フランダースの犬・・・・7点  なんでパトラシエやねん。でもいい話だ。



40 :1:03/10/19 16:55
>>35

『ハリガネムシ』を読む前には『クチュクチュバーン』を先に読まれることを
おすすめします。自分のこの作家に対する評価の試金石になると思いますので。

>>36

『老人と海』は以前英語で読んだことしかないため、ほとんど印象に残って
いませんw
確か、最後に釣った魚を鮫に食べられてしまうんですよね?それと、老人の見る夢が
象徴的だったような。。。

>>37

叫ばないで下さいw

>>38

キューブリックの『2001年宇宙の旅』は傑作ですよね。
何回も観ていますが、いまだにモノリスの意味がわかりませんw
それに最後の寝室みたいな場所は一体何処なんでしょうか?

ちなみに私個人はキューブリックの最高傑作は『シャイニング』
(スティーヴン・キング原作)だと思っています。って板違い?




41 :1:03/10/19 17:01
 桐野夏生『グロテスク』
 
 泉鏡花賞受賞作ということで読んでみましたが・・・
この作品のどこがいいのだか全く理解できませんでしたw
 この作品は明らかに“東電OL殺人事件”に触発されて、それを素材にして
書かれているのでしょうが、結局、現実に起こった事件・事実を
小説が凌駕することができなかった失敗作だと思いました。
 “東電OL殺人事件”とは、慶応女子出身・東電勤務のエリートOLが
夜は渋谷で売春を行っていて、結局売春相手とされるネパール人に殺されてしまった
という事件(現在上告中)ですが、小説では佐藤和恵というのがこの東電事件の被害者に相当し、
他にユリコという売春婦も新たに登場して被害者が二人に増え、
加害者はチャンという中国人で、ユリコの姉であり和恵の女子校時代の同級生である
“わたし”の告白形式で(途中、ユリコの手記・チャンの上申書・和恵の日記を交え)
書かれています。
 私は佐野眞一のノンフィクション『東電OL殺人事件』を既に読んでいて、
この事件にはかなりの関心・衝撃を受けていましたが、
やはり何がショッキングだったかといえば、何故なに不自由なかったと思われる
名門大学出身・一流企業のエリートOLが売春行為を行うようになり、
結局殺されなければならなかったのか?この事件の背後にはもっと闇の部分が
隠されているのではないか?といった疑問があったからですが、
この小説においてこうした問いに対する答え・掘り下げがいかにも不十分・表層的だなあ
と感じました。
 確かに作者が新たに創造した部分も多いですが
(Q女子校での話、チャンとメイクンの中国での話等は面白かったです)、
小説の核となる部分は何ら改変されておらず、佐野氏の『東電OL殺人事件』を
少しアレンジ・脚色しただけの作品としか思えませんでした。




42 :1:03/10/19 17:07

 私は優れた小説というものは、現実に起きた事件をもとにしつつも、
それを作者なりの解釈・視点で咀嚼・加工し直し、
全く想像もつかなかったような作品世界を読者に対し新たに創造・提示
してくれるものだと思うのです。そういう意味においてこの作品は駄作だと思いました。
あと、この作品は“わたし”の告白・問答形式で書かれているのですが、
誰に対し、どのような状況・シチュエーションで、告白・問答しているのかが
結局最後まで読んでもわからないし、おまけに、最初は売春・セックス(ユリコ・和恵)
に対しかなりの嫌悪感を抱いていた人間が、最後には自分自身売春婦(ユリコ・和恵の後継者)
になってしまうというのはいかにも陳腐でしたw


43 :1:03/10/19 17:29
 森健『火薬と愛の星』

 群像新人文学賞受賞作(村上龍・春樹も受賞経験者)で、
“なるほど、20年後の『風の歌を聴け』はこうなのか”という宣伝文句につられ、
すごく期待して読んでみたのですが、期待が大きかっただけにがっかりしてしまいました。
一言で言えば、単に村上春樹の『風の歌を聴け』をまねて(パクって?)
書いただけのような作品でした。

 内容は、二十代後半の予備校講師である主人公“おれ”が
次から次ぎへと女の子と関係を持ち、幾人もの女性との性遍歴が
次々と描かれているだけで、ただ単に“おれ”が自分の女性体験を自慢気に
日記風に綴っただけの作品(私小説?)としか感じられませんでした。
 ただ、主人公が女性と関係を持つために数々の“嘘”をつきまくるというくだりは、
前回の芥川賞候補にもなった中村文則の『遮光』にも似たような事が描かれていたこともあり、
それがどう発展するのか期待して最後まで読んでみたのですが・・・無駄でした。
この程度の作品では、おそらく芥川賞にはノミネートすらもされないでしょうねw
村上春樹の後継者になれるかwこの作家の今後の作品に期待したいと思います。



44 :吾輩は名無しである:03/10/19 17:57
>>1は日本人作家の本と外国人作家の本どっちをよく読むの?
外国人作家の本を読むときは全部原文で読んでるの?

俺は外国人作家の本ばっか読んでるこの頃。もちろん日本語訳されてるやつ

45 :吾輩は名無しである:03/10/21 19:06
>>41“東電OL殺人事件”とは、慶応女子出身・東電勤務のエリートOLが
夜は渋谷で売春を行っていて、結局売春相手とされるネパール人に殺されてしまった
という事件(現在上告中)ですが

〜電力会社OL殺人、逆転無期懲役が確定へ 上告棄却 〜

 東京都渋谷区のアパートで97年3月、電力会社の女性社員(当時39)が遺体で見つかった事件で
最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は、強盗殺人の罪に問われたネパール国籍の元飲食店員
ゴビンダ・プラサド・マイナリ被告(37)の上告を棄却する決定をした。
一審の無罪を破棄して求刑通り無期懲役とした二審の逆転有罪が確定する。決定は20日付。
 審理にあたった4裁判官全員一致の判断。第三小法廷は「上告理由にあたらず、
記録を精査しても(重大な事実誤認など憲法・判例違反以外の原判決破棄事由を定めた)
刑事訴訟法411条を適用すべきだとは認められない」と述べた。
 この事件は被告と犯行を直接結びつける物証がなく、自白もなく、下級審が正反対の結論を出したことから
最高裁の判断が注目されていた。被害者のプライバシーにかかわる報道や、
一審で無罪となり釈放された被告の身柄を再勾留(こうりゅう)した裁判所の判断をめぐっても論争を呼んだ。
 二審判決によると、マイナリ被告は97年3月9日未明、渋谷区円山町のアパートの空き室で女性の首を絞めて殺害し、
所持金約4万円を奪った。


46 :吾輩は名無しである:03/10/21 19:07
つづき

 事件は同年3月19日、管理人が同室で遺体を発見して発覚。隣のマンションに住むマイナリ被告が4日後、
入国管理法違反(不法滞在)容疑で逮捕され、同年5月20日に有罪判決を受けた直後、強盗殺人容疑で再逮捕された。
捜査段階では黙秘し、公判では一貫して無罪を主張してきた。
 一審・東京地裁は00年4月、発見現場に残されていた体液や体毛のDNA型が被告と一致した点などを認めたが、
他の人物が部屋を使用した可能性なども指摘。「犯人と認めるには合理的疑問を差し挟む余地が残る」と無罪を言い渡した。
 しかし、二審・東京高裁は00年12月、女性が残していた手帳の詳細な記述や、
部屋の鍵の管理に関する関係者の証言などと食い違う被告の供述は信用できないと指摘。
「被告が犯行に及んだことは十分に証明されている」と結論づけた。 (10/21 17:06)


47 :吾輩は名無しである:03/10/23 18:31
手袋を買いに 最後の胡弓弾き ・・・ともに6点
どちらも新美南吉作品 最後の胡弓弾きは中々の後味の悪さ

八月の光 中々読み終わらないよお でも明日明後日中に読み終わりそう

48 :吾輩は名無しである:03/10/25 08:10
「八月の光」・・7点・・読むのに6日もかかってしまった。
一人の人間からの視点からじゃなくて、色々な人間のしてんから
話が展開していってあまり今まで本を読まなかったので
斬新に感じた。解説を読んで、主人公2人が最後まで1回も顔を
あわさないと気づいて、へぇ と思った。

49 :吾輩は名無しである:03/10/31 13:45
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50 :吾輩は名無しである:03/10/31 15:46
>>41
「グロテスク」面白くないのかー。
佐野眞一のを読むと「余白」が気になってどうしようもなかった。
その「余白」を想像力で埋めるのはルポルタージュの仕事ではないだろうし、
ここで優れた小説家の眼力を期待したいと思っていたんだが…。
心を掘り下げていく小説って流行んないから、書ける人いないのかな。

51 :吾輩は名無しである:03/11/07 23:31
菊池寛の「若杉裁判長」おもろい 10点

52 :吾輩は名無しである:03/11/07 23:39
老人と犬
よかったー

53 :吾輩は名無しである:03/11/08 00:02
     ○
     |
( ´∀`)つ ワーイ

       チクッ
     ○←⊂(・∀・ )
     |
( ´∀`)つ 


     .'  パン!!       ↑
    .∴.*・,‘  (( ( ・∀・)つ
     |
 (;゚Д゚)つ 



54 :吾輩は名無しである:03/11/11 22:03
村上龍の「69」めちゃめちゃおもしろかった。(エロくないです。)
小説に出てきた音楽とか6〜7割知ってたからさらにおもしろかった。
60年代の洋楽聞いてる人はさらにおもしろいと思うです。別に60年代の洋楽知らなくても普通におもろいと思います。
一日で読みきってしまった・・。


55 :1:03/11/14 22:10
>>50
全く同感です!
残念ながら桐野夏生という作家には少し荷が重かったようですw

>>54
『69』『長崎オランダ村』等の村上龍の私小説的な作品は、力が抜けていて
すごく面白いですよね〜随分昔に読んだきりなので内容は全然覚えていませんが。
 でも、確かM・プイグの話が出てきたような・・・何もすることがなくなった
プイグが故郷のパンパの情景を思い出して、その頃の話をノートに書き記すことにし、
まさにその瞬間に作家が誕生したとかいうような内容の。あれ、違う作品だったかな?


56 :1:03/11/14 22:19
吉田修一『東京湾景』

 日比谷公園を舞台にした『パーク・ライフ』で芥川賞を受賞した著者が、
今回は東京湾を挟んだ品川埠頭・お台場を舞台に、出会い系サイトで知り合った
男女の恋愛関係を描いた最新長編(中編?)です。
 
 品川埠頭の貨物倉庫で働く和田亮介と、キャリアウーマンとしてお台場で働く平井美緒は、
最近はやり!?の出会い系メールを通じて知り合い付き合うようになるのだけれど、
お互いに相手には知られたくない話せない過去があって・・・
 男女の恋愛感情の微妙なすれ違いが、アントニオーニの映画『日蝕』の描写も交え、
とてもうまく軽いタッチで描かれていると思いました。切ない気持ちにさせてくれます。
共感する読者もきっと多いことでしょう。特に女性には・・・

 でも、私にはちょっと小説として物足りなさを感じてしまいました。
それは『パーク・ライフ』でも感じたことで、今回の作品ではその物足りなさが
克服されていることを期待して読んでみたのですが・・・やっぱり同じでした。



57 :1:03/11/14 22:31
阿部和重『シンセミア』

 『インディヴィジュアル・プロジェクション』、『ニッポニアニッポン』が
なかなかの作品だったので、今回の最新長編はかなり期待して読んでみたのですが、
その期待を裏切らない見事な傑作!だと思いました。
阿部和重はこの作品においてかなりの飛躍を遂げたように私には感じられました。
かつて中上健次が『枯木灘』を、村上龍が『コインロッカー・ベイビーズ』を発表した時のように・・・

 山形県神町を舞台とする一連の凄惨な物語は、ある一人の背の高い男が果樹園で
一人の老人を殺害する場面で幕を開けます。
この作品冒頭で殺害された老人は誰なのか、殺害した男は何者なのかは、
作品途中で判明するのですが、何故男は老人を殺害したのか?その動機は
作品最後になってようやく解き明かされることになります。



58 :1:03/11/14 22:34
 ↓
 
 物語は、パン屋のあるじ田村明、その息子で後継者の田村博徳、交番に勤務する中山正巡査、
あやしげなサークル=青年団のリーダー松尾丈士及びそのメンバーを中心に、
それぞれの登場人物の視点に立って展開・描写されていき、
盗聴・盗撮・ゆすり・リンチ・淫行・汚職等の現代日本に蔓延する様々な問題が
作品舞台の神町には凝縮されていて、読んでいてちょっと鬱になるかもしれませんが、
様々な伏線が張り巡らされ、それらが次第に複雑に絡み合って反響し合い、徐々に加速し、
最後にはおぞましい終局を迎え幕を閉じることになります。
 次々に人が死に(たったの数時間で10人死にますw)、その何の希望も救いのない終わり方は、
あたかもコーエン兄弟の映画『ファーゴ』を彷彿とさせました。

 舞台となる神町においては、過去(終戦直後)において“郡山橋事件”という
凄惨なリンチ事件があって、その挿話は作品途中で何気なく語られるのですが、
実はこの事件が物語の根底に横たわり深く関わっていることが最後にわかり、
この作品の奥深さを感じさせてくれました。
 ただ最後にちょっとしたオチがあり、それは私には蛇足に思われましたが・・・
 
 いずれにしても、絶対に一読してみる価値のある作品だと思います!





59 :1:03/11/14 23:00
 ↓

 地方の小さな町において、若者達の集団の悪意が徐々に膨らんでいって、
最後に大破局を迎えてしまうといったストーリー自体は、
ドストエフスキーの『悪霊』に類似性が認められますが、
その作品構造・スケールの大きさ・人間心理の洞察力の深さ等においては、
残念ながらまだまだ遠く及ばないとは思いますけど。




60 :1:03/11/19 20:56
小川洋子『博士の愛した数式』

 17年前の自動車事故のため、ぴったり80分しか記憶を持続させることができなくなってしまった
元数学者の“博士”と、その“博士”をお世話することになった家政婦の“私”とその息子 “ルート”
三者間の、美しく切ない、お互いの心を気遣う精神に満ち溢れた、心温まる束の間の触れ合いを描いた
作品です。
映画でたとえるなら、ラッセル=クロウ主演のアカデミー作品賞受賞作『ビューティフル・マインド』と
『メメント』を足して2で割ったような感じの小説かな?
 “博士”が子供を無条件に愛する姿、その彼を親子で思いやり気遣う“私”と“ルート”の姿は
純粋そのもので、きっと感動を与えてくれることと思います。

 オイラーの公式や、アルティン予想、フェルマーの最終定理等、難解な数学の話も出てきますが
(それとバランスをとるかのように阪神タイガースや江夏豊の話も出てきます)、
素人にもとてもわかりやすく説明されていて、数学嫌いの人でも数学に対し興味を持つようになるかもしれません。
少なくとも私はこの作品を読んで、数学と江夏にすごく興味を持ちました。
数学嫌いな小・中・高生と阪神ファンにおすすめの小説かもw



61 :1:03/11/19 21:03


 真実はどこにあるか?という“私”の問いに対し、“博士”が自分の胸に手をあて、
「物質にも自然現象にも感情にも左右されない、永遠の真実は、目には見えないものだ。
数学はその姿を解明し、表現することができる。なにものもそれを邪魔できない」
と語る場面では胸を強く打たれました。
 私も、真理というものは決して目に見える、手で簡単に触れることのできるものではなく、
我々各人の心の中にのみ存在するものでは、と思っています。

 作品の構成が非常にうまくできていて、ぐいぐい引っ張られ最後まで一気に読まされてしまいました。
結末はちょっと私の予想外でしたが・・・。



62 :1:03/12/23 16:45
羽田圭介『黒冷水』

今話題の、文藝賞史上最年少受賞作品ということで、
あまり期待せずに読んでみたのですが、完成度の高い見事な作品でした。
確かに文章・文体にまだ粗さや稚拙さが散見されるのですが、
全体としてみた作品の構成力や筆力・人間心理の描写力は、
近年の新人作家の中では突出したものが感じられ、
その作家としての資質・才能は、以前、平野啓一郎に冠せられた
“三島の再来”という表現はまさに彼のために妥当するのでは?と
私には思われました。ちょっと褒め過ぎかもしれませんが・・・

作品のテーマ自体は家庭内での兄弟間の反目・いざこざ・憎しみ合い・暴力
といった取るに足りないものですが、そこで描かれている人間心理の闇・深層心理
といったものからは、とても17歳の少年によって書かれたものとは思えない程の
鋭い洞察力を感じ(あたかもドストエフスキーのような)、強い衝撃を受けました
(特に兄の“正気”が机あさりをする弟の“修作”にトラップをかけ、
修作が正気の目論見にまんまとひっかかるくだりは素晴らしかった!)。
日常茶飯事の、誰でも一度や二度の経験や覚えがある“兄弟間での机あさり”
というごく些細な出来事から着想を得て、これ程の読み応えある作品を作り上げた
著者の創造力一つをとってみても賞賛に価いすると思います。
今後の著者の成長が非常に楽しみです。



63 :吾輩は名無しである:03/12/24 13:15
>>62
羽田圭介はいずれ芥川賞の史上最年少記録破るでしょうね。

64 :吾輩は名無しである:03/12/25 10:17
>>62
なんかおもしろそうだね。
でも文庫ではないのだろうか。

今田宮虎彦の落城を読んでます

65 :1:04/01/14 23:33
島田雅彦『美しい魂』

この作品は、《無限カノン》三部作(『彗星の住人』『美しい魂』『エトロフの恋』)
の中間に位置する作品で、とても面白くテンポ良く一気に読めて、
恋愛小説として素晴らしい出来映えの作品だと思いました。

小説の冒頭はいきなり二人称(君)語りで始まり、ダダ(父)やマム(母)等
ちょっと取っ付きにくかったですが(島田雅彦の作品を読むのは初めてです)、
すぐに主人公のカヲルがアメリカに留学中の幼馴染みの不二子に会いに行くところ
から物語りが紡ぎ出され(作品構造はカヲルの義姉アンジュがカヲルの娘文緒に
父の昔話を語るという設定)、その後はどんどん作品に引き込まれ、
二人の恋の行方がどうなるか、ハラハラドキドキ最後まで釘付けにされてしまいました。
作品最後で、カヲルの親友であり、カヲルと不二子の最後のデートを演出した
伊能が文緒に語る
「一人の少女と少年の出会いは不滅なんだ。少女が皇太子妃になり、
少年が歌手になっても、最初に互いを見初めた時のときめきは残る。
古代人が残した壁画のようにね。」
という言葉は、以前、水村美苗の『本格小説』や宮本輝の『錦繍』を読んだ時と同様、
感慨深いものがありました。

皇室をも巻き込んだカヲルと不二子の報われぬ禁断の恋を描いたこの作品を読むと、
自然と、皇室一族を舞台にした松枝清顕と綾倉聡子の悲恋を可憐に描いた
三島由紀夫の『豊饒の海−春の雪』を連想せざるを得なかったのですが
(おそらく作者自身もあの作品を強く意識して、それを乗り越えようと
書いたのではないかと思います)、残念ながら日本文学史上における
恋愛小説の金字塔である『豊饒の海−春の雪』を越えることは
さすがにできなかったというのが素直な感想です。



66 :1:04/01/15 23:57
金原ひとみ『蛇にピアス』

第130回芥川賞受賞作。
今回のノミネート作品の中では一番良かったと思いましたが、
まさか本当に受賞するとは・・・。
時代の変化を痛切に感じました。

今どきのギャルでありながら、スプリットタンと刺青−身体改造−に魅せられた
19歳の主人公“ルイ”の目を通して、彼氏の“アマ”、その知人で彫り師の“シバさん”
との交際関係を、前回芥川賞受賞作『ハリガネムシ』と同様、
過激なセックスや暴力の描写を交えながら
(ただ今回は女性の視点から描写されているためか
『ハリガネムシ』を読んで感じたような不快感>>6は全然感じませんでした)
軽妙なタッチで描くことで、現代の若者の価値観・倦怠感・厭世観・
希薄な人間関係等が浮き彫りにされています。

無駄な記述・描写が一切なく、最後に繋がる伏線も色々と張られていて、
短い作品でありながら、練りに練られたかなり計算された作品だと思いました。
また、簡潔な会話文と、たたみかけるような心理描写とが
絶妙なコントラストをなしていて(これがデビュー作とはとても思えません)、
かなりの才能を感じました。



67 :1:04/01/19 19:14

最初に受賞が決まったのは選考委員の半数の五人が〇で推した金原の「蛇にピアス」。
△が四人で古井由吉選考委員だけが反対、七点を獲得した。
選考経過を説明した村上龍選考委員によると
「特別議論白熱ということもなく」すんなりと決まった。
「最も破綻(はたん)がない作品が選ばれた」とも印象を述べた。
河野多恵子選考委員は「文章のレベルが上がっているのではないか」と評価した。
「どこに傷があるか」で少し応酬があった程度だった。
「蛇にピアス」は「今を生きる女の子の純愛で好きな男に対する思いがきちんと描かれている。
いれずみを入れた後、落ちこんでゆくことから一般的な女の子だと示されるなど、
作品として感心するほどよくできていた」と村上選考委員は絶賛。

との事。


68 :1:04/01/24 16:33
奥泉光『新・地底旅行』

『「吾輩は猫である」殺人事件』及び『鳥類学者のファンタジア』と
三部作を形成する奥泉光の最新長編作品。

時は明治時代。失踪した稲峰博士とその娘都美子を捜索する
(更に武田信玄の隠し財宝を見つける)ため、
画家でこの小説の語り手である野々村鷺舟とその友人富永丙三郎、
稲峰博士の弟子水島鶏月、稲峰博士の女中サトの4人が、
富士山麓の樹海の洞穴(龍の口)から地底奥深く地球の中心に向けて
探検していく波瀾万丈・抱腹絶倒・奇想天外な冒険物語。

映画でたとえるなら、中盤までは『グーニーズ』や『インディー=ジョーンズ』
のようなスリリングな冒険活劇といった感じで、
野々村・丙三郎・鶏月・サトのキャラがそれぞれ対照的で面白く、
とても楽しく読めます。
終盤になると、“電気エネルギー”“電気生命体”“宇宙オルガン”“光る猫”等々
不可解なものが次々と出てきて、あたかも『2001年宇宙の旅』
『ミッション・トゥー・マーズ』みたいな、地球誕生から現代に至るまでの
長い時間の中での人間存在の本質・宇宙全体の謎=神秘といった
難解かつ壮大なテーマが垣間見られ、色々と考えさせられました。

ただ、“メビウスの環”の如く現実と虚構・過去とが複雑に絡み合う
『ノヴァーリスの引用』『葦と百合』『プラトン学園』『グランド・ミステリー』
等のような作品に奥泉作品の魅力・醍醐味を感じている私のような読者には、
ちょっと期待はずれで物足りない作品かもしれません。念のため・・・。





69 :1:04/01/31 10:29
東野圭吾『幻夜』

“名作『白夜行』から4年半。あの衝撃が、今ここに蘇る。”
というキャッチコピーに釣られ思わず衝動買いしてしまいました。

阪神淡路大震災を契機に、魔性の女=新海美冬と宿命的に出会ってしまった
一人の青年=水原雅也(及び、彼らをひたすら追い続ける刑事加藤)が、
破滅への道を突き進んで行く姿を描いた東野圭吾の最新作。

一体、新海美冬とは何者なのか?
何故それほどまでに次々と男を利用して出世を図ろうとするのか?
その理由は結局最後まで解明されずに
(それらしきヒント・答えは提示されていますが、
最終的な判断は読者に委ねられた形で開放されて)終わってしまいます
(ネタばらしになってしまうのであまりこの辺は詳しく書けませんが)。
その点で、明確に“幼少期における性的虐待に起因したトラウマ”
“貧しい者が富める者に対して抱く妬み・恨み”
“少年少女期に形成された感情の普遍性・不可侵性”といった
人間の深層心理を根底に据えて描いた『白夜行』や『殺人の門』(参照>>8
の方が作品として分かり易いし、私は好きです。
作品で描かれるタイム・スパンも、『白夜行』や『殺人の門』が約20年にも渡る
長期だったのに対し、『幻夜』は約5年(阪神大震災〜ミレニアムまで)という
短期間で、ちょっと終盤にきて失速してしまったような印象も受けました。

ただ、いつもながら複数のストーリーを並行して描き、伏線を張って、
読者をぐいぐい作品世界に引き込んでいく技術は素晴らしく、
また、その時代々々の社会的背景(今作では阪神淡路大震災、サリン事件、
ストーカー犯罪、カリスマ美容師等々)を作品に取り込み反映させるのが
本当に上手い作家だなぁとつくづく関心しました。
早く彼にも直木賞をあげて欲しいものです。


70 :二十一:04/01/31 11:21
このスレ観させていただいてます。

一日どれくらい本読んでるんですか?僕は三日に一冊ですが、もっと増やそうと思ってます。

71 :1:04/01/31 22:22
>>70

普段色々と忙しく、じっくり腰を据えて読書できないため、
そんなに読むペースは速くはないですよ。
毎晩、就寝前のひととき、読書に浸ってます。

私はいつも何冊か(5〜8冊)の本を並行して読み進める癖があるので、
平均すれば1ヶ月に5、6冊くらいかな。3日に一冊はすごいですね〜。
と言っても、ドストエフスキーやトルストイの長編なんかは1冊で1ヶ月はかかるし、
軽い短・中編なんかは1週間で10冊は読めるから、あんまり参考にはならないかも。

それより、良かったら読んだ本の感想をどんどんupして頂けませんか?
私一人では寂しいので・・・。



72 :いち:04/02/01 00:28
あ、二十一さんだ。
自分も時々コノスレ読んでます。
ここの>>1さんの感想は読んでて面白いし、
最後のネタバレもほぼなし。がんばってください

73 :いち:04/02/01 00:46
この言い方だと>>1さんにネタバレするなといってるようなものですね。
すみませんでした。ネタバレしても普通に読ませてもらいますんで
どんどん書いてください。

74 :吾輩は名無しである:04/02/01 17:40
スティーブン・ミルハウザーの『エドウィン・マルハウス』(白水社版)読了。
エドウィンという11歳で死んだ少年に関する伝記。
それを書いたのは幼馴染で11歳のジェフリー(という設定)。

名作と呼ばれているだけあって、発想や構成が非常に面白かったです。
オチも「なるほどw」と思いました。
ジェフリーの「芸術家を作り出す」作業はとにかく変態的で笑えると同時に恐怖を感じます。
伝記文学や小説に関するジェフリーのコメントもなかなか秀逸。
11歳のガキが「読者よ!」という感じでいきなり語りだして、
独自の哲学、箴言を語るのですが、妙にリアリティがありました。
それとすごいのは子供の世界、子供から見た世界を緻密に描写しているところ。
新しいものにであったときの喜びや驚きもそうなのですが、
人や影や物の「動き」を子供の視点でよく描いているなあと思いました。

ただその描写がときどき無駄に冗長な感じがしました。
ジェフリーの変質者的な性格を表す。子供の視点で生き生きとした世界を描く。
という意味では成功していると思いますが、もう少し削れたのではないかと。
結構飛ばし読みをしてしまいました。
バルザックなんかの情景描写のしつこさは楽しめるのですが、
ミルハウザーのそれにはちょっと退屈してしまいました。

でも全体的に楽しく読めました。笑えると同時にガクブルな小説です。

75 : ◆cZMAO/kymY :04/02/02 06:22
test

76 :吾輩は名無しである:04/02/03 11:42
五木さんの日本退屈党よんだけどね。どうだ。オマエラ、いたずらの方は。なんてね。

77 :吾輩は名無しである:04/02/03 17:31
1の感想ばっかジャン

78 :二十一:04/02/03 21:48
>1
おそれすごめんなさい。
そうなんですか〜
僕の場合、小説よりも実学書みたいなやつが多く、斜め読みする程度です

>いち
僕を知ってるんですか?

最近読んだのは、ニーチェの「善悪の彼岸」と「道徳の系譜」(岩波)です。
ニーチェはソクラテスやカントといった、超ビッグネームを高圧的に批判していて、しびれました。
また、天才とはもっとも人間的な人間のことではないのだろうか、と感じました。

あと、上のほうでも出ているドストエフスキーとトルストイは一通り読みました。
ドストエフスキーの「分身」(岩波文庫では「二重人格」)は、一般的には駄作といわれていますが、非常に面白かったです。主人公があまりにも可哀想で笑えます。
トルストイの中でかなり好きなのが「幼年時代」。幼いころの悩み、弱さ、愛の萌芽、が感じられて涙出そうになります。

79 :二十一:04/02/03 22:04
それから今日友人と、軽い論争がありました。
サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」についてです。以下ねたばれありです・・・
ライ麦畑でつかまえてっていうのはどういう意味かについて、
僕は、思春期の不安定な少年少女は、大人に反抗しつつ(逃げ回りつつ)も、何かに救って欲しい、正しいものに受け入れて欲しい、(つかまえてほしい)(という弱さを持っている)という意味に解釈しました。
友人によると、ライ麦畑を行き過ぎたところには崖があり、落ちたら死ぬそうです。
かなり前に一回読んだだけなんですが、一番印象に残ったのは、主人公が娼婦に手を出そうとしたかなんかして、金を渡さないで、ごろつきに脅されて情けなく降参してたところです。他のところはほぼ忘れました。

80 :吾輩は名無しである:04/02/03 23:35
小説書くための勉強のつもりで、
「限りなく透明に近いブルー」
「海の向こうで戦争が始まる」
を読む。
内容はともかくとして、「限りなく」の構成のメチャクチャサに驚く。
セリフは面白い。

81 :吾輩は名無しである:04/02/06 00:05
バルザックの「幻滅」をよみました。
友達がキャラ萌え要素がすごいよって言ってたので。
第2部が面白かったです。マスコミ業界の裏面とか、
主人公リュシアンのダメっぷりが特に。リュシアンには何度も腹がたちましたヽ(`Д´)ノ
第3部なんですが、あまりにも妹エーヴが都合のよいキャラとして使われてて残念。
なんていうか第3部の半ばくらいまでスーパーマン的な役割で。
あまりにも物事をうまくこなしすぎるというか。
でもその駆け引きとかはなぜかリアリティがあって面白いんですが。
第3部はちょっと冗長な感じがしました。
もっとリュシアンにスポットをあてて、訴訟部分を少し削って欲しかった。

それにしても「セナークル」ってかっこよすぎ!
キャラ萌え要素たっぷりですね、バルザックは。
ダルテス様〜♥って感じですた。ビアンションもクレチアンもステキ(*´Д`)
「セナークル」を中心にした物語とか読んでみたいな。
ハンター×ハンターの幻影旅団とか好きな人にはオススメですよ。
イケメンのサブキャラ軍団みたいな感じでトキメキました☆

82 :吾輩は名無しである:04/02/06 00:24
ハンター×ハンターの幻影旅団とか好きな人にはオススメですよ
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83 :1:04/02/06 22:28
亀レスでごめんなさい。

>>72 いちさん
ありがとうございます!
そう言って頂けて、すごく嬉しいです。

>>74
感想ありがとうございます。
ミルハウザーの『エドウィン・マルハウス』は確か絶版になっていたと
思っていたら、いつの間にか復刊してたんですね。
近いうちに私も読んでみたいと思います。

>>78 二十一さん
ニーチェって、ソクラテスやカントを批判してたとは知りませんでした。
まぁ、超人思想を提唱して「神は死んだ」なんて言うぐらいだから。
それにしても、ドストエフスキーとトルストイを一通り読んでいるなんて
凄いですね〜。
私は長編は何度も読んでいるのですが、その他の作品はあまり読んでないんです。

ちなみに、今まで『カラマーゾフの兄弟』は岩波版の米川正夫訳で読んでいたのですが、
先日、新たに文字が大きくなって読みやすくなった原卓也訳の新潮文庫を買ってきて、
現在、再読しているところです。
それにしても、『カラマーゾフの兄弟』は何度読んでも面白いし、新しい発見がありますね〜。


84 :1:04/02/06 22:44
>>79 二十一さん
私も『ライ麦畑でつかまえて』は随分昔(中学生時代)に読んだきりなので
ほとんど忘れてしまいました。
昨年出版された、村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』も結局購入しなかったし。
ただ、“ライ麦畑でつかまえて”っていうのはどういう意味かについては、
去年の文学界6月号のサリンジャー特集を読めば参考になるかもしれませんよ。

>>81
バルザックの『幻滅』って随分マイナーですよね。
でも面白そう〜。キャラ萌え要素たっぷりというのが。


85 :1:04/02/06 22:56
金原ひとみ『アッシュベイビー』

先日、『蛇にピアス』(参照>>66)で第130回芥川賞を史上最年少で受賞した
金原ひとみの受賞第一作ということで期待を込めて読んでみましたが・・・・。

語り手である“私”こと、出版社に勤める大学時代の同級生=館山
“ホクト”とルームシェアしている22歳のキャバクラ嬢“アヤ” が、
ホクトの会社の同僚である“村野さん”に恋い焦がれ、
ひたむきな一途な恋愛に悩む姿(及び、ロリコンである“ホクト”が
親戚から預かったという赤ん坊に対し自室で異常性愛行為に及ぶ姿)
を描いた作品。

内容はともかく、“クソ”“チンコ”“マンコ”“オナニー”“殺して”等々の
汚い言葉の数々が、22歳の女の子である“私”の口から連発されるのには辟易しました。
今どきの若い女の子は何の抵抗もなく平気でこういった言葉を使うんですかね〜。
前作『蛇にピアス』程度ならまだ許せるのですが、さすがに今回は私の許容範囲を超えていましたw
また、描かれている主人公の人物像が、今作の “アヤ”と前作の “ルイ”とで
ほとんど一緒なのも気になりました。
他方、前作同様、所々、村上龍ばりの畳みかけるような内面吐露描写があり、
そういった箇所では小説家としての才能は間違いなくあるなぁとも感じました。

作家としての試金石とされる第三作目に期待したいと思います。

ちなみに、文学界3月号に村上龍と金原ひとみの対談が掲載されているのですが、
非常に興味深く読みました。いろいろな意味で。



86 :1:04/02/07 12:49
大西巨人『深淵』

まだご健在だったとは驚きです!
80歳を越えた大西巨人の9年振りの最新長編小説。
“12年間の記憶を失った男は、生と存在との根源的問題に直面した−”
“冤罪・誤判と言われる二つの殺人事件を通して描かれる、
人間・社会のあるべき姿”といったキャッチコピーに惹き付けられ、
埴谷雄高の『死霊』のような壮大な作品を期待して読んでみましたが・・・
全くの期待外れでした。

1985年7月、埼玉県与野市に住む28歳の主人公=麻田布満が
新婚の妻琴絵を残し忽然と失踪し、12年後の1997年4月、
北海道釧路市郊外の病院で12年間の記憶を喪失させたまま
(逆行性健忘に陥り)“秋山信夫”として目覚めるところから作品は始まります。
その後、妻琴絵(娘白妙)と再会を果たし、逆行性健忘に陥ったまま
以前の生活を取り戻すのですが、ある日、丹生哲彦という人物と偶然出会い、
布満が空白の12年間西日本のと或る場所で別の名前=“秋山信馬”として
生活していた事実を明かされ、更に、或る殺人(冤罪?)事件の重要証人として
“信馬”が必要とされていることを伝えられ・・・。
と、ストーリーの概要自体を説明すると何かすごく面白そうですが、
それ程面白くはないです(決してつまらなくもないですが)。
かなり文章・言い回し・作品構造等が独特ですし。
現在、大西巨人のHP(巨人館)上でこの作品は公開されているので、
わざわざ本を購入してまで読む必要はないような気がします。

ただ、作品内で古今東西の作家(カフカ、トーマス=マン、チェーホフ、
ガルシア=マルケス等々)の作品が取り上げられていて、
その点では十分楽しめるかもしれませんが(でもそれだけでしたw)。

カルト的人気が高い(!?)『神聖喜劇』は未読なんですが、
こちらの方はどうなんでしょうか?


87 :吾輩は名無しである:04/02/10 20:58
1さんの職業、年齢を教えてください。
たぶん、みんな知りたがっていると思いますよ。


88 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

89 :吾輩は名無しである:04/02/11 00:15
はじめまして。

横山秀夫著:『半落ち』
を読みました。
最近映画化された作品だということで購入。ミーハーです;

映画で観られた方もいらっしゃるかもしれませんね。
警察官である梶が、『病気の妻を扼殺した』と自首してきたことから始まります。
とりまく人々や組織の内情なども詳しく書かれており、各章ごとは面白く、すっと読めました。

ただ、最終章での梶の行動の理由は、いきなりすぎてあまり納得できませんでした。各章が、それぞれ違う人物の視点から書かれているので、最終章あたりは梶視点で書いてほしかったです。
「他人から見た梶」ばかり書かれているので、梶本人を理解することがあまりできませんでした。




90 :吾輩は名無しである:04/02/11 01:02
村上春樹は「風邪の歌を聴け」が最高傑作で、
「海辺のカフカ」が一番の駄作だと思う。
自分の歳のせいかもしれないけど。

91 :吾輩は名無しである :04/02/11 01:10
ハードボイルドワンダーランドはどうなの?

92 :お、おま:04/02/11 01:30
私もグロテスクに裏切られた。ノンフィクションに想像力が勝てなかったと私も全くそう思った。三分の二まできたけど読むのやめよう。
だいたいoutも世評ほどはいいとおもわんな。米国で評価されそうらしいけど。

93 :お、おま:04/02/11 01:36
藤原正彦 天才の栄光と挫折 新潮選書

続けて投稿済まぬ

数学ができて、文章がこれだけうまくて
嫌になる 天は二物をあたえるのね。
でも 小川洋子の 博士と〜 はすらすら読めて 読みやすかったが それ以上でもそれ以下でもなかった、、、

94 :お、おま:04/02/11 01:46
読売新聞夕刊連載中の俵マチの トリアングル 。 おもしろい。ちょっちすけべーな女心の描写とたまに入る短歌もぐー。
ただし 朝刊連載中のの渡辺淳一のは最悪。ただのエロ小説。


95 :吾輩は名無しである:04/02/11 11:59






といいますか、フォトリーディングの本持ってない人は
買ってから速読について考えてみてください。
今のところフォトリーディングを超える速読法って無いと思います。
速読さえ身につければ、英語だろうがどんな学問だろうが、研究者並に
習得できると神田さんが言っています。
どんな本にも絶対に有効だと思います。

ソース:http://atkinson-web.hp.infoseek.co.jp/atkinson/news_book.htm




96 :お、おま:04/02/11 12:13
神田さん て 誰よ

97 :お、おま:04/02/11 12:28
横山ひでちんは 長編より 短編のがいいですよ。
動機とか 顔とか。
映像化されまくってますが 彼の文章味あわないと
いけませんよ

でも おもしろいとぉもて読みまくると陰踏み あたりから飽きもきた きょうこのごろ。
やはり 軽いミステリから 重厚もの 歴史もの 芥川賞とった純文学系〜じつはこの人の書いたものでは純文がいちばん好きよ、あたくし〜 と幅広い 清張さんに かなわないのかなー

せいちょーさんの純文学は 新潮文庫 西郷札 や黒地の絵 でどうぞ。
中居正広の砂の器 見てるひまが あったらこっちを読め!



98 :吾輩は名無しである:04/02/11 14:25
昨日読み終えた三島由紀夫「金閣寺」。
これ駄作だ。
気持ち悪いし。
三島オタって真性の低脳だね。

99 :吾輩は名無しである:04/02/11 15:04
>>98
三島オタは元祖ビジュアル系だと思う!

100 :お、おま:04/02/12 08:36
文芸春秋三月号で 芥川賞二作をちぇっく、、、
蹴りたい〜 はここの掲示板にでも書き込みしそうな今時の文体、、、内容もさいとうみなこ が まともでいい意味で裏切られる て書いてたけど なー うーむ あっしには 少しませた高校生の日記くらいにしか思えなかった

評価の高い蛇ぴあ のほうは 文章はまとも。だけど あまりに痛そうすぎて 読み続けることができませんでした 違った内容なら 読めるかも とはおもいましたが、、、ますます過激になるみたいですし。だったら 初期の村上龍を読んだほうが たのしい と思いましたデス


101 :吾輩は名無しである:04/02/12 10:36
年寄り

102 :吾輩は名無しである:04/02/14 17:55
Alenka Zupancic「リアルの倫理」
なんか難しい
途中で挫折
内容忘れた
また最初から
やり直し
でも絶対面白い…はず
直感と本能がそう言っている。

103 :1:04/02/15 10:37
>>87
職業は言えません。ごめんなさい。
念のため、文学関係者ではありませんので・・・。
年齢は32歳です。

>>89
はじめまして。
横山秀夫も最近、もの凄い勢いで本出してますね〜。
もっとも、私はまだ彼の作品を一冊も読んだことありませんが・・・。
でも、『半落ち』はすごく面白そうだし、私も負けず劣らずミーハーなのでw
いずれ読んでみたいと思っています。

>>90
>『海辺のカフカ』が一番の駄作だと思う
という意見には同意しますが、
>『風邪の歌を聴け』が最高傑作
という意見には同意しかねます。
個人的には『ノルウェイの森』と『ねじまき鳥クロニクル』という
異なるタイプの二作品が双璧をなしていると思います。
好みの問題でしょうけども。



104 :1:04/02/15 10:42
>>93>>94 お、おまさん
小川洋子『博士の愛した数式』(参照>>60,>>61)は今年度の読売文学賞を見事
受賞したようですよ。
最新作の『ブラフマンの埋葬』はいまいちでした。少女漫画っぽくて・・・。


俵万智の『トリアングル』は、わざわざ読売新聞を購読しようかなと
真剣に考えた程すごく興味あります。やっぱり面白いですか?
単行本化が待ち遠しいです。

>>98
三島由紀夫の『金閣寺』は戦後日本文学が生んだ最高傑作の一つだと思いますが・・・。
人それぞれですね。





105 :1:04/02/15 10:57
大江健三郎『二百年の子供』

(俵万智の『トリアングル』と同じく)読売新聞(毎週土曜日)に連載されていた作品。
大江健三郎曰く、“私の、生涯唯一のファンタジー・ノベル”とのこと。

長女“あかり”、次男“朔”、長男で障害児“真木”の“三人組”が、
両親が渡米して不在の間、父の故郷でありアサ叔母さんがいる四国の森で一夏を過ごし、
その間に森の中にあるシイの木のうろ=“夢を見る人”のタイムマシンを使って、
120年前(1864年)の過去や80年後(2064年)の未来を行き来し冒険する物語。
大江作品お馴染みの、四国の森の中の土地(“谷間”と“在”)を舞台として
その土地の歴史や伝承を綴った一連の作品群=書き替えものの一つ。

私は、大江健三郎という小説家の創造力(物語を紡ぎ出す力)というものは、
フォークナーやガルシア=マルケスに匹敵する程の、世界に誇れる素晴らしい才能
(日本人作家では稀有)だと思っているのですが、ここ最近の作品
(『取り替え子』『憂い顔の童子』)に関してはかなり不満を持っていました。





106 :1:04/02/15 10:59
↓(続き)
でも、この作品の最後で、帰国した父(=大江健三郎)が“ピンチ”について質問した息子の朔に対し、
「私らの大切な仕事は、未来を作るということだ、私らが呼吸をしたり、
栄養をとったり、動きまわったりするのも、未来を作るための働きなんだ。・・・(略)・・・
私らはいまを生きているようでも、いわばさ、いまに溶けこんでる未来を生きている。
過去だって、いまに生きる私らが未来にも足をかけてるから、意味がある。
思い出も、後悔すらも・・・」
「私が“ピンチ”だったのは、自分のいまに未来を見つけないでさ、
閉じてしまった扉のこちら側で、思い出したり後悔したりするだけだったからじゃないか?
もう残っているいまは短いが、そこにふくまれる未来を見ようと思い立ってね。
それが“ピンチ”を脱け出すきっかけになった。・・・」
と語りかける場面では、著者自身がここ数年来の “ピンチ”からようやく脱却でき、
今後、新たな“新しい人”の作品の登場を強く予感・期待させてくれました。
私には、この最後のせりふを、希望に溢れた明るい未来ある若者達に対してだけでなく、
むしろ自分自身に向けて発し、それによって自らを鼓舞するために(そのためだけに)、
わざわざこの作品(ファンタジー)を書いたような気がしてなりません。

次回作が“最後の小説”になってしまうのかはわかりませんけれども、すごく楽しみです!




107 :吾輩は名無しである:04/02/24 01:17
チェスの話っていうタイトルの本を読みたいんですけど、これって文庫本では
出てませんよね 
知ってる人がいたら どうか教えてください

108 :1:04/02/24 21:08
丸谷才一『輝く日の宮』

非常に読み応えのある、学問的にとても興味深く面白く読める作品でした。
この作品は一応小説という形をとってはいますが、
それは単に小説という形式を借りただけで、実質的には『源氏物語』の謎解き本
(“謎解き『源氏物語』”)と言ったほうがむしろ適切で、
著者の博識振りが如何なく発揮された、教養小説・学術書・研究書といった類の作品
のように思われます(他にも松尾芭蕉が東北へ旅した理由=“謎解き『奥の細道』”
や幽霊談義等もあって盛り沢山です)。
その意味では、先日読んだばかりの大西巨人の『深淵』(>>86)と
相通じるものがあるのではないでしょうか。
逆に言えば、小説としてはそれ程面白くはないということですが・・・

『輝く日の宮』というのは、この小説の主人公である女性国文学者=杉安佐子が
提唱する(異説!?)、歴史上葬り去られた本来存在し得たはずの『源氏物語』
(全54巻)中の幻の巻の題名で、彼女は“ある人物”(※)の手によって
『輝く日の宮』は意図的に削除・破棄・抹消されたと考えています。
では、一体何故『輝く日の宮』は“ある人物”の手によって抹消された
(されねばならなかった)のか?
その謎解きがこの小説の最大の見せ場で、そのクライマックスは作品最後に、
安佐子が突如何の前触れもなく、紫式部と“ある人物”との対話を瞬時的に
神から与えられた天啓の如く脳裏に思い浮かべるという形で訪れるのですが、
その明かされる真実に私は完璧に痺れました!!
見事としか言いようのない答え、それ以外考えられないような真相が用意されています。
日本史や古典文学が好きな方には是非読んでみて欲しいと思います。
絶対におすすめです!



109 :1:04/02/24 21:21
※ ちなみに“ある人物”とは、誰もが知っている歴史上の超有名人物です。
  この人物と紫式部との間に男女間の関係があったとか、
  『源氏物語』がこの人物と紫式部との共同作業によって誕生した
  (この人物の存在抜きでは到底完成できなかった)といった事実は
  私には初耳で、それだけでもビックリさせられました。

  『源氏物語』の執筆は1001年頃開始されて1008年頃完成されたということなので、
  ちょうど今から1000年前の話なんですよね〜。驚きです!

  

110 :吾輩は名無しである:04/03/10 21:52
高村薫 「マークスの山」

111 :1:04/03/18 21:50
>>106
昨日たまたまニュースステーションを観ていたら、大江健三郎が現在、
今までの集大成・総決算となる作品に取り組んでいる(自宅で執筆中)
映像が流れていて、ついに、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
と嬉しくなってしまいました。



112 :1:04/03/18 21:57
ヤン・マーテル『パイの物語』“Life of Pi”(2001)

2002年度ブッカー賞(英国文学圏で最も権威ある賞!?)受賞作品。
この作品は著者の覚え書き部分と3部構成からなり、
カナダ人作家である著者がインドに滞在して3作目の作品に取り組むため苦悩していた折り、
偶然立ち寄った喫茶店で一人の老人から“神を信じたくなるような話”を聞かされるところから
物語は始まります。
その話とは、昔インドで動物園を経営していたパテル家一家4人がカナダに移住するため、
日本の貨物船ツシマ丸に搭乗し出帆したけども、まもなく船は太平洋上で突然沈没してしまい、
この事故で救命ボートに乗り一命をとりとめたのは、
一人のインド人少年ピシン・モリトール・パテル(パイ・パテル)と
4頭の動物達(シマウマ・オランウータン・ハイエナ・トラ)のみで・・・・
というもの。
その後、著者はカナダに帰国し、直接パイ・パテル氏と何度か面談し、
更に日本の運輸省の役人が作成した事故調査報告書等をもとにこの作品を書き上げます。

こうした作品構造自体は、昨年読んだ水村美苗の『本格小説』(参照>>9>>10
に非常によく似ているなぁと思いました。単なる偶然とは思いますが。
また、デフォーの『ロビンソン・クルーソー』を大胆に読み変えた、
去年ノーベル文学賞を受賞したJ.M.クッツェーの傑作『敵あるいはフォー』“FOE”(1986)
にも相通じるものがあると思います。



113 :1:04/03/18 22:07
↓(続き)
第1部は、主人公パイ・パテルのカナダにおける現在、及びインドでの
幼少期〜16歳になりカナダに発つ日までを纏めたもの。
第2部は、この作品のメインパートで、船が沈没してからメキシコの海岸に漂着するまでの
227日間にも渡る16歳の少年パイ・パテルの太平洋サバイバル漂流記
(このパートだけでも一つの独立した漂流記もの作品として楽しく読めると思います)。
第3部は、日本の運輸省の役人が作成した事故調査報告書を纏めたもの。
第2部までで作品の9割を占め、ここまでは何の変哲もない普通の漂流記もの作品なのですが、
最後の第3部で衝撃的な“大ドンデン返し”が待ってます。
それがどれ程のものかは、この作品が既に『シックス・センス』『アンブレイカブル』でお馴染みの
M.ナイト・シャマラン監督による映画化が決まっているということからも
容易にご想像頂けるのではないでしょうか?w

文学・小説の危機が叫ばれて久しいですが、小説という表現形式には
まだまだ未知の可能性が残されているなぁと実感させてくれる作品でした。




114 :1:04/04/11 15:46
中村文則『悪意の手記』

著者の作品は今まで『銃』→『遮光』→『蜘蛛の声』と読んできていますが、
彼が目指している(目指そうとしている)路線にはちょっと限界があるかな?
という印象を持ちました。期待はしているのですが・・・。
残念ながら、この作品でも恐らく芥川賞は無理だろうな〜と思いました。

作品は、15歳でTTPという難病を患い生死の境を彷徨ったけれど奇跡的に生還し、
その後、高校の親友Kを衝動的に殺害してしまった現在25歳の男=“私”の
三つの手記から成り立っています。
第一の手記は難病に罹った15の頃からKを殺害した頃までのこと、
第二の手記は18になって仙台?の大学での学生生活を新たにスタートさせてから
自殺未遂を起こすまでのこと、
第三の手記は大学を中退し、バイト先でリツ子という
15歳の少年に4歳の娘を殺された過去を持つ女性と出会ってから現在までのこと、
がそれぞれ書かれています。



115 :1:04/04/11 15:51
↓(続き)
一体この手記の目的は何なのか?

作品全体からドストエフスキー臭がプンプンしていて、
明らかに『罪と罰』の影響を受けて(目指して?)書かれていると思うのですが
(加えて、多分、神戸の児童殺傷事件にも感化されて書かれているような気もします)、
やっぱり今一つ成功していない、それどころか破綻を来しているように思えて仕方ありませんでした。
その一番の原因=最大の失敗は、作品が一人称形式で書かれていることだと思います。
『罪と罰』も最初一人称で書かれた(4,5通りの方法で書かれた)けれど、
結局、現在の三人称形式になったのも、その辺に理由があるのではないでしょうか。
やはり実際の本物の殺人者、自殺者自身が書いたものでない限り、
この手の作品はどうしてもリアリティに欠け破綻を来してしまうのではないでしょうか
(例えば、神戸の事件後文藝春秋に掲載された加害少年の手記や
検察官面前調書等を読むと、そのリアリティの違いが歴然と感じられます)。


116 :1:04/04/11 15:58
吉田修一『ランドマーク』

目下、大宮に建設中の螺旋構造の35階建て建造物“O-miyaスパイラル”をめぐり、
その建設に携わる建設会社の作業員=清水隼人と、
“O-miyaスパイラル”を設計した設計技師=犬飼洋一の二人の人間模様を、
両者のストーリーを同時並行的に、微妙に交錯させながら描いていくことで、
現代の都会で生活する若者の“危うさ”みたいなものを浮かび上がらせています。

劇的な出来事・事件は何一つ無く、クライマックスの盛り上がりみたいなものも欠けるのですが
(多少マニアックなエピソード・出来事があったり、最後にはちょっとした悲劇が起こりますが)、
この作家は、これまでの作品もそうですが(参照>>56)、
現代という、人間関係の希薄な都会で生活する若者達の人間模様を、
都会の無機質化した固有名詞を織り交ぜながら淡々と描き、過剰性を廃することによって、
“何か”を伝えようと努力してしているのだなぁと、しみじみ感じました。



117 :1:04/04/11 16:02
↓(続き)
果たして、そうした路線が今後どのように進歩・発展していくかを期待してみたいと思います。

でも、やっぱり個人的には、複数のストーリーを並列的に展開し描いていくのであれば、
最終的にそれらが劇的に交錯して結びつくような作品を期待したいし、
そのほうが分かり易くて私は好きなんですけどね〜。
映画でいったら例えば『マグノリア』や『アモーレスペロス』のような作品。
阿部和重(『公爵夫人の〜』や『シンセミア』参照>>57>>58>>59)なんかはその路線ですけど。


118 :1:04/04/11 20:29
大崎善生『パイロットフィッシュ』

著者の処女小説で、2002年吉川英治文学新人賞受賞作。
新宿紀伊國屋で文庫のサイン本が山積みされていたのを見かけたので、
思わず買ってしまい、そのまま一気に読んでしまいました。
正直言って、何の予備知識もなく、あまり期待もせずに、
暇つぶし程度の軽い気持ちで読んでみたのですが・・・
素晴らしい!期待を裏切る見事な作品でしたw
洒落た会話や譬え話・逸話、音楽・料理の描写等々が盛り込まれ、
恐らく(間違いなく!?)村上春樹、『ノルウェイの森』に多大な影響を受けて
この作品は書かれているのでしょうけれど、単に村上春樹、『ノルウェイの森』の二番煎じに終わることなく、
新たな独立した立派な作品に仕上がっていて、“成功している”と思いました。

現在、成人雑誌の出版社でその編集・出版の仕事に携わっている40歳を過ぎた主人公の“僕”が、
学生時代の恋人=“由希子”からの19年振りの電話とともに過去を回想し、
過去と現在、そして風俗嬢=“可奈”との出会いと別れ、
恩師の“渡辺さん”や“沢井編集長”の死を織り交ぜて描くことで、
作品冒頭に提示された、
「人は、一度巡り会った人と二度と別れることはできない。
なぜなら人間には記憶という能力があり、そして否が応にも記憶とともに現在を生きているからである。」
というテーマを、ジワジワと胸に染み入るように伝えてくれます。
この作品を私なりに形容してみるならば、“透明な悲しみに覆われたような作品”、
といった感じでしょうか。

作品構造自体、37歳の“僕”が18年前を回想することで、
「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。」
というテーマを根底に据えそれを浮かび上がらせ“喪失感”を描いた
『ノルウェイの森』と非常に類似していると思いますので、
その意味では、『ノルウェイの森』好きな人にはおすすめかもしれません。




119 :1:04/04/11 20:37
↓(続き)
「君がたとえ僕の前からいなくなったとしても二人で過ごしていた日々の記憶は残る。
その記憶が僕の中にある限り、僕はその記憶の君から影響を与え続けられることになる。・・・」
と、僕が19年振りに再会した由希子に語るセリフにはジーンとしてしまいました。

私も、人は日々記憶に支配・影響されながら生きていて、現実の実際の存在よりも、
実は、現実には存在しない記憶といった不確かなものの方にむしろ影響されているような気がします。
自分の身近な人、肉親・友人・知人がたとえ死んだとしても、
その人達の思い出は記憶として確かに自分の中に自分だけのものとして残っていて、
その記憶は自分が生きている限り永遠に喪われること無く、
その記憶が残っている限りその人達の存在に影響を受け続けながら自分は生き続けることになるのでは、
と思います。

ちなみに、題名ともなっている“パイロットフィッシュ”とは、水槽で高級魚等を飼おうするような場合に、
予め健全な生態系をその水槽内に形成・維持させるためだけに最初に入れられる魚のことで、
他の魚たちのためにその役目を終えると殺されてしまうそうです。





120 :吾輩は名無しである:04/04/22 22:36
天童荒太 「永遠の仔」
読む前、というか話題になっていたときは子供が相当えぐいことを親とかに
やられていてそのまま育って大きくなってから親とかに復讐してそれでも足りずに
いろいろしでかしてというめちゃくちゃどろどろソースのような話だと思っていたのに
まわりくどい話の運びでやっとわかった真実も案外呆気なく衝撃ではないが意図しないラストに
数年来気になってやっと読んだ本としては肩透かしを食らった感想でした。

「希望の国のエクソダス」村上 リュー
龍の作品で読んだこと無かったので読んでみた。
てっきり、たくさんの中学生が一斉に海外のある国で独立国家を築く話だとばかり、、、。
淡々と経済の話が進んでいくだけであまり面白いとは思えず、、、。


121 :1:04/04/24 12:18
イサベル・アジェンテ『天使の運命』(1999)

待望のアジェンテ久々の最新作。
処女作『精霊たちの家』とは違って、この作品では
いわゆるマジック・リアリズムの手法はすっかり影を潜めていますが、
ラテン文学特有の豊饒な物語世界を十分に堪能させてくれる作品でした。

時代は1843年〜1853年、
貿易港として賑わうチリのバルパライソとゴールドラッシュ真っ直中のカリフォルニアを舞台に、
私生児である美貌の主人公エリサ・ソマーズの波瀾万丈の物語を軸に、
エリサの育ての親=ミス・ローズの封印された過去
(ロンドンでのテノール歌手=カール・ブレッツナーとの悲恋話)や、
医師でエリサの親友=タオ・チェンのアヘン戦争前後の中国での話
(少年時代や伝統医師=ジョングジ及び最愛の妻リンとの出会いと別れ)等々
多彩な物語を絢爛と織り交ぜ、時間や場所(チリ、フランス、ロンドン、中国、サン・フランシスコ)
が入り乱れながらめまぐるしくストーリーが展開して行き、
最後はエリサが初恋の相手=ホアキン・アンディエタによる呪縛から解放され
魂の自由を獲得する場面で物語は静かに幕を閉じます。
最後にエリサが目撃したものは?
盗賊の首領=ホアキン・ムリエタとホアキン・アンディエタは果たして同一人物だったのか?・・・
その答えはエリサ一人が知るのみです。



122 :1:04/04/24 12:23
↓(続き)
本の見た目はハーレクィーンみたいで(買うのがちょっと恥ずかしいw)、
軽い恋愛小説のように誤解され敬遠されてしまうかもしれませんが(もったいない)、
中身は濃密で(ちょっとした、さらっと書かれた短いセンテンスの中にも、
非常に沢山の事柄が含意され盛り込まれています)、
無駄な記述・描写・センテンスが一切無く(かなり推敲を重ねてこの作品は完成されていると思います)
物語のクオリティ・スピードに追いついて行くのが大変でした。

本作品は、そのまま『セピアの肖像』(未翻訳)→『精霊たちの家』(1982)
と語り継がれ、全体で一族の百数十年にも渡る壮大な三部作を形成するようなので、
もう一度じっくりと読み返してみたいと思います。
アジェンテが近い将来必ずノーベル文学賞を受賞するだろうことを確信させてくれるような
上質な味わい溢れる素晴らしい作品です!



123 :吾輩は名無しである:04/04/24 19:25
ねじまき鳥よんだ
いろんな暴力がちりばめられて満杯なんだけど
まだ書きたりんって作者の勢いものっかってるのを感じた
井戸水と愛をかけてるんかな
愛は自分では注げないもので
人からしか貰えないもんなんと受け取りましたよ
生きていくためには水(愛)が必要なんだけどその水は自分自身では
自分に注げないん
生きてる事は愛されてる事で生きていくためには
暴力もつかってでも愛を手に入れないと生きられないと読んだところも
愛=犠牲
命ある肉を食べるだけでなく生きるは様様な犠牲の上に成り立っている
自分の命を乗り越えさせるためには無理やりにでも
愛をむしりとる人
その強欲から逃れられない人もいる現実と
岡田ってひとが奥さんを助け出すように
助けられる人もいるってこと



124 ::04/04/26 22:01
ほぼ1の感想日記だな。よし、漏れも加勢しよう。
じゃまならじゃまと仰って下され。
そのうちなんか読み終えたら書きます。

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